運動が極端に苦手≒DCD「発達性協調運動障害」に対してなぜり:はーとのレッスンが役立つのか?

■運動が極端に苦手・・・DCDって聞いたことありますか?

このあと詳しく説明しますが、一言でいうと「体を使うことに極端な苦手がある」状態のことです。り:はーとでは、診断の有無に関係なく、このDCD=発達性協調運動障害ではないか?と思われるような困難に悩むお子さんをサポートしています。

近年は習い事としてたくさんの体操スクールがあり、お子さんが運動指導を受けることができる場所は増えたと思います。ただし、お子さんの運動の苦手さ、困難さに対して必ずしもぴったりとマッチしたサポートを受けることはなかなかできません。

それにもいくつかの理由があると思います。

■そもそもDCDとは?

「発達性協調運動障害」Developmental Coordination Disorder:DCDのことです。1994年にDSM-IV(アメリカの精神医学会の診断マニュアル)に名前が記載されました。
医師がつける診断名ですので、その他の人が勝手に決めることはできません。ただし、それに近いようなお子さんに対して様々な支援が行われています。

また名前こそありますが、お子さんが目の前で悩んでいる困難さは多岐にわたります。以下に紹介するものはその一例です。


<大きな動き・運動のなかでは>

●動きがぎこちない、全身を協調する動きが難しい
歩く姿勢や、 スキップ、 走るフォームなどがぎこちない。
マット運動が難しい。
リズムやタイミングを合わせて動くことが苦手。
●バランスが極端に悪い
片足立ちなどで非常にグラグラする。
●姿勢が悪い
立ち姿勢、座っているときの姿勢が大きく崩れて、声掛けでは修正できない。
●道具を使った運動・スポーツが難しい
キャッチボールでボールを見たまま動けない・あさっての方向に投げる。
縄跳びで単に縄にひっかかるというのではなく、縄が頭上に来ている時にジャンプするなどタイミングを全く合わせられない。また縄を回せない。

<小さな動き・物の操作では>

●はし・えんぴつなどの操作
●ハサミ・ボタンを留めるなどの両手活動


上記の他にも、「何でできないの?」と一見当たり前に感じるような、日常から出てくる動作や操作に苦労する様子を見かけます。

重要な点としてDCDと思われるお子さんたちは、その他に知的障がい・身体的な障がいを持っていないということです。その他の発達障がいやASD(自閉症スペクトラム症)と思われるお子さんにも同様の困難さがありますが、DCDの方とは分けて捉えられます。

■なぜ通常の体操教室でDCDのサポートが難しいと思われるのか?

(1)共通したメニューが当てはまらないから

多くの体操教室のトレーニングメニューは、「複数」のもしくは「ある程度区別した」お子さんたちが実践できる、運動指導の内容として作られているはずです。
しかし先に述べたように、DCDと言われるお子さんの感じている運動の困難さは、一人一人違うものです。なのでお子さんに完全に寄り添ったメニューを作ることは難しいと思われます。

また、自身と他者を比較することができる4才児以降の就園・学齢期のお子さんにとっては、「同じこと」を要求することそのものが負担になる可能性もあり・・・そうなれば「体操教室行きたくない」となるはずです。
(その他の習い事にもおなじことが起こります)

(2)「繰り返しの練習」による強化学習が効果的でないから

通常、新しいことを学習する際には、そのために必要な「スキル(動きやタイミング)」を分解し、いったん動きの自由度を凍結します。一度ぎこちなくなったり、出来ていたことはずのことを手放し・・・そして動きを「繰り返す」なかで、新しい動きのパターンを組織化し、運動のスキルを獲得していくのです。

ところが、DCDと言われるお子さんたちの多くは、これらのスキルを学ぶために必要な「土台とのある機能」に何らかの苦手や経験不足を持っていると考えられています。

なので、「繰り返しの練習」では、出来ないを繰り返すこととなり・・・こういうのを「負の強化」と呼びます。
簡単に言えば、運動自体が嫌になっていくのです。

(3)「運動の得意」な体操・体育の先生

体操の先生・トレーナー・体育の先生方は、端的に言えば運動が得意だったという方がほとんどでしょう。そのことに気がついて真摯に指導に当たっている先生を除けば、本当に困難を抱えている(もしくはそう感じている)お子さんの気持ちに寄り添うことは難しいと思います。これは自身の療法士としての経験からですが・・・実際大変なことだと思います(自戒を込めて)

■DCDと思われるお子さんが身につけたい「土台となる機能」を考える。

目の前で起こっている個々の「出来ない」よりも、人間が動くために必要な「土台となる機能」からとらえる視点が必要です。


●体を動かすスキル(姿勢は運動の一部です)
=身体各所を協調して、タイミングを合わせて使う
●視覚、聴覚、前庭感覚、固有感覚といった多感覚を統合する。
●バランスに適応する
=身体各所のバランス戦略、姿勢による重力との関係の変化、それらを統合する。
●身体認知
=身体の形、空間内での位置、全身の姿勢のイメージ、自身の行動のイメージを作る。


これらから、「今お子さんに出来ること」「もう少しで出来そうなこと」「新しくチャレンジすること」を見出していくことが必要です。

とくにり:はーとでは「フェルデンクライス・メソッド」「シェルハブ・メソッド」を中核としています。
上記の機能をトレーニングではなく、赤ちゃんが立って動きまでの運動発達のプロセスに基づいた経験の「追体験」で、新しい運動ー感覚の協調性として養っていくことを目指します。

赤ちゃんのころの動きはどんな年齢になっても「追体験」することができるのです。それこそ高齢になっても可能です。例えば、ずり這いやハイハイをしなかったお子さんであっても、その後自身を育て・発展させることが可能です。

また身体認知(ボディーイメージやボディシェーマ)の向上のためにも、例えば・・・

運動をしようにも、どうやって体は動くのか?
関節はどこにあるのか?
自分の体の形・大きさはどんな風になっているのか?

このようなことを感じる経験として、シェルハブ・メソッドの「体の地図づくり」が大きく役立ちます。

 

■本当にDCDと思われるお子さんのためには何が必要か?

出来ない運動を回数積み重ねても、お子さんは自身の抱える困難からおそらく解き放たれないでしょう。そして運動への自信を失うことは、自分自身への土台の自信を失うことへつながります。

体の動かす力は、自分自身という存在の心身の安定のための重要な土台の一つとなります。それは特別なスポーツ競技を行なう力の成長でも養われますが、本来もっと日常的な運動や遊びの中で培われるものです。

そして、本当に子どもが「喜びを感じる」「どんどん運動をしたくなる」のは・・・自分ができたと実感できた時です。

だから、DCDと思われる困難に悩むお子さんに本当に必要なことは、この「出来たという実感」なのだと思います。

自ら「出来た」ことが嬉しいから、もっと動きたくなるのです。

ところが、DCDの要素を持つお子さんにとってはこの「出来た」を経験することが極端に難しいのです。だから、り:はーとのレッスンでは、この経験を非常に重要視します。

■DCDとり:はーとのレッスン

り:はーとのレッスンはDCDという疾患名に対しては行なわれません。
お子さんの抱える困難さに向き合い、ときには上手にいなして、自分自身に自信を持って人生を生きる・・・その土台となる体・こころの成熟を手助けしたいと考えています。

フェルデンクライス、シェルハブの各メソッドは「動きを変える・育てる」ことで人間の成熟を目指します。

なので、お子さんの・・・

今持っている力
今抱えている困難
できるようになりたいこと(興味)
向上できる機能
追体験できる乳児期の動き

これらの要素をお子さんの気持ちを中心において、レッスンの内容を提案・実践していきます。

毎回レッスンの内容はお子さんと相談で決まりますが、お子さんが「楽しんで」その日のレッスンを終えることができたら、きっと何かの達成感や気づきを得ていることでしょう。

「なぜ運動が楽しくなるのか?」「また続けたいと思うのか?」

それはみんなで一緒にトレーニングするからでもなく、特別なことをするからでもなく・・・自分の出来たを実感して、自身の変化を感じ取ることができるから!

ぜひり:はーとのレッスンをお受け頂き・・・

お子さんが笑顔で「新しいことに挑戦している姿」をご両親に驚いて頂けることを楽しみにしております。

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