斜頭や頭の絶壁とも関係する、新生児の「向き癖」対策として必要なものは何か?<動画あり>

一般的に言う「向き癖」とはなに?

ご両親が赤ちゃんの頭をえいっっと変えても、すぐにその向きに戻ってしまいますよね💦

正式な定義はありませんが、一般的に寝返り前の新生児~乳児で、顔がいつも同じ方向を向いて寝ている状態のこととされています。

病院では股関節の可動域の差から起こることが多いとされて、 医師が股関節の可動域をチェックします(まず出生直後に、股関節の動きは確認されます)

ただし実際には、それ以外の様々な理由で向き癖は起きて・・・そして自然に解消されていくことも多いものです。

そんな向き癖ですが、実際にスタジオで「向き癖」という相談で会うお子さんの大きな特徴は・・・自分で頭の向きを変えることができないということです。

赤ちゃんの頭は自然と横に「傾く」・・・それが「向き癖」に?

生まれてすぐの赤ちゃんも頭をいつも横に傾けてることはありますよね。それはお母さんの胎内にいるときから、すでに横を向いている子もいるのです。エコーで自分の指を舐めている様子がわかることもありますよね。

また出生時(産道を通るため)は特にですが、元々頭はいびつな球形です。ですので単純に重さでも横に転がります。

さらに・・・そうやって頭の重さに首の筋肉が引っ張られれば、ATNR(非対称性緊張性腱反射)という原始反射の影響で、その体の向きで容易に姿勢を変えられなくなります。

これらの一連の体の動きは、お子さんが自分で頭を傾けることはなくても、勝手に「傾いて」しまうということです。

赤ちゃんにとって頭の重さは全身の動きに常に影響を与えます。

そして、自分で頭の向きを変える力が育っていない状態で固定していると、それが「向き癖」という状態になっていくのです。

定型発達の中で向き癖がなくなるときは?

逆にさきほどのATNRが目立たなくなる、そして両上肢・頭の位置が真ん中に集まる・・・正中位指向といわれる時期があります。

一般的には生後3か月すぎくらいになると、自然に向き癖が目立たなくなって次の発達のステップに進むお子さんも大勢います。

ただし、実際の新生児を観察すると、これらの発達段階のさらに前に始めていることがあります。

それがどんなにわずかでも「自分で頭を動かす」ということです。

ただし、お子さんにお任せ~でずっと頭を同じ向きで床を押させていくと、斜頭・絶壁のリスクは高まります。

なので、対策はできるだけ早い時期から必要です。

斜頭・後頭部の絶壁はなぜ起こる?

お母さんたちが恐れる「斜頭」や「後頭部の絶壁」って実際に見たことのある方は分かると思いますが、本当に平たいですよね💦

少なくともお母さんのお腹の中では起きていません。

これらが起こる原因を理解するためには、中学校の理科で習う基本的な物理のルールを理解する必要があります。

それは「物は何かに力を伝えることで動く」作用・反作用の法則(運動の第3法則)というものです。

そのため私たち人間は、この世に生まれ落ちた瞬間から立って歩けるようになるまでの間に、床を押すことで動くことを学習するのです。

これは赤ちゃんの運動発達の理解のためには大事な視点です。

赤ちゃんが頭を使って床を押すことはむしろ必然なのです。

 

ここで、もしも向き癖があって、あたまの位置を赤ちゃん自身で変えられないと・・・その結果頭の同じ部分で床を押すこととなり、その部分の頭が床の形に変形してしまうのです。

一度大きくゆがんでしまって頭の骨の形が固定化した後は、それを変えることは難しいのです。

この話はまた別の機会に・・・ですね。

道具を使って向き癖を防いだり、治せますか?

インターネットで良く見られる簡単なアイデアとしては、まくらやタオルで使う方法ですが・・・結論としてはあまり意味がありません。

向き癖になるきっかけや理由のことを考えずに、形だけを押さえようとしているからです。

 

①向き癖にならないために、円座などのまくらでまっすぐ頭の位置を押さえて寝かせる。

 ⇒真後ろに床を押すので、頭の後ろが絶壁になり、頭が平らになる方向になります。

②頭が床を押しても大丈夫なように、柔らかいまくらを置けば良い。

 ⇒不足した床を押す感覚を取り込むために、さらに強く床を押すので結果は同じです。

  ただし、あごがわずかに引ける位置に頭を置けることはメリットもあります。

③すでに横を向いて寝ている赤ちゃんのために、タオルで押さえる。

 ⇒タオルに押される感覚があると、それに対してさらに押し返すので、結果として姿勢は変わりません。

この写真はあくまでイメージです。

頭の傾きが本当に向き癖にならないための対策は?

赤ちゃんが自分で頭を転がせるようになることが一番の近道です。

床を頭の一点で押すことがなくなると、少なくともまっ平に頭がゆがむことはなくなります。

頭のいろいろな場所で床を押せることで、新生児期の頭の変形は減少していきます。

またこの動きの獲得は正中位指向や首すわりといった発達的なステップアップのためにも欠かせません。

赤ちゃんが頭を床の上で転がせるようになるのは、首すわりよりも前のことなので、まだ寝返りしていなくても大丈夫です。

・・・が・・・

そんなこと簡単に言いますよね・・・とお考えのご両親もいるはずです。とくに現在進行形でお子さんの向き癖に悩んでいるご両親にとっては深刻だと思います。

そんなご両親のために、まず簡単に実践できる=動きを作る「向き癖対策」を紹介します。

この方法は2つあって順番にやっても、別個に試しても良いです。

お子さんの反応の良い方で!

①まず横向きを経験をする

仰向けで横を向いているお子さんの頭を真ん中に向けるのではなく・・・赤ちゃんの向いている方向に、体全体を向けて横向きにしてあげるのです。

この姿勢が楽に維持できるようになると、少なくとも背骨は頭から骨盤までねじれの取れた形になります。

これを赤ちゃんが怖がらないように楽に行なうには、ちょっとコツがいりますが、ご両親が試して見るなら・・・

まずは、とにかくゆっくり横向きにすることです。

新生児の横向き体験の効果は他にものたくさんありますが、今回は向き癖対策のためにお勧めしています。

②目の左右の動きで遊ぶ

赤ちゃんの目の動きは左右、つまり横方向から発展します。ただし顔の正面にあるものが目でとらえやすいので、横向きに寝ていたら天井の方ではなく、赤ちゃんの顔の正面に向けるのです。

そこから小さく、天井の方向におもちゃを動かします。

この時期の赤ちゃんは物そのものよりも「動き」を見やすいのですが、目がついてくるのが見えるくらいの速さと範囲で、黒目がついてくるかを見てあげてください。

目と頭を動かす首の筋肉は脳の中で高度に結びついています。なので目が動くと頭の向きを自然に変えるように体が働くのです。

長くなりましたが・・・

これらの繰り返しで、赤ちゃんが頭のいろいろな場所で床を押せるようにしてチャレンジしてあげてください。

また下の動画が参考になります!不明な点、試してもうまくいかなかったときには、ぜひお早めに相談やレッスンをご検討くださいね!

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