赤ちゃんの目の機能の発達・成長のために必要なもの、おもちゃや環境・スマホなどの画面のもたらすもの

赤ちゃんの目の発達は、体・知的な発達すべてに欠かせない。

「見る」ということは、私たちと外界を結ぶための情報を得るための最重要の感覚です。赤ちゃんはさまざまな発達の過程で目の持つ機能を同様に発達させていきます。

大人はその目の発達のために、月齢に合わせた環境やおもちゃの準備をしてあげることによって、その発達を後押ししてあげることができます。今回の記事では、赤ちゃんの目の力の発達とその時々にできるサポートの方法を紹介していきたいと思います。

新生児(0か月)~2か月の目の発達に必要な遊びの経験とは?

0か月の赤ちゃんは、すでに18~30センチ先の物を見る視力を持っています。ただぼんやりと天井を見ているわけではありません。のぞき込むお母さんの顔、窓から見える木漏れ日、すでに焦点を合わせて、注目することを学習し始めています。ただし最初は「一つのもの」です。じっくりと物を見せて上がる必要があります。

新生児~1か月ぐらいのお子さんには、まずお子さんの目の前に自身の顔を見せて、注目を促してあげてください。またコントラストのはっきりした原色のおもちゃを見せてあげましょう。きっと、じ~~っと見つめるお子さんの様子を見ることができるでしょう。おもちゃを目の前のつるしておいておいたり、ベビージムのオモチャの数を減らして見せ上げるのも良いです。

次に、注目を払ったものが動くものを見ることで「目の横の動き」の学びが始まります。この目の動きは頭が床の上を転がる方向に動くことを促します。なぜなら、目と頭を動かす神経は脳のなかで関連づいていて統合して動くようになっているからです。

頭を転がすことは赤ちゃんにとって初めて、自分でコントロールすることのできる「体の動き」です。

ただし、同様にこの時期の赤ちゃんの頭の動きは、首の傾きや頭の向きの刺激によって影響を受ける原始反射によっても支配されています。自分の意識的な(随意的な)力で体を動かすには、これらの反射が脳の中の神経系の成熟にともなって統合されてくる必要があります。この神経系の成熟には「頭尾の法則」があって、頭のほうから進んでいくのです。このペースには児によって大きな違いがあります。

メリーやベビージムといったおもちゃは、この2~3か月の時期の赤ちゃんに目の発達にとても役立つものです。3か月に近づくころには1~2個のオモチャを同時に見ることや手を伸ばすことも出来始めるかもしれません。

赤ちゃんの「自ら動く力の発達」が目の発達と世界・空間の理解をはぐくむ。

先ほどまでで話した通り、新生児が注目したものを目で追いかける(追視)し始めると、頭を目と協調して動かし始めます。これをきっかけに自身の体を動かすことを学び始めます。また、視力は4か月の赤ちゃんでおおむね0.2ほど、2mぐらいのものを見ることができます。

ところで・・・寝返りをしない時期まで赤ちゃんは長い時間天井を見て過ごしています。しかし私たち大人の生きる世界は「水平」にできていて、縦・横・高さのある世界です。大人は自身の発達の過程でそんな「世界の仕組み」を理解しています。

目の動きは「見ることの育ち」です。その目の動きでヒトは世界をとらえる(認知する)のです。だから、赤ちゃんはこの世界を仕組みを自身の姿勢が変わる経験によって学びます。つまり寝返り・ピボットといった動きの経験は、同様に動く世界を目でとらえることになります。例えば寝返りなら、視界の世界は突然ひっくり返るのです!!これは赤ちゃんにとっては大きなショックでしょう。泣いてしまうこと・驚いて固まってしまうこともあります。

大事なのは、自ら動いて(能動的)経験することで、初めて目で見る世界を理解することができることです。これは「ゴンドラ猫と自由移動ネコ の実験(Held & Hein,t963 )」などの心理学研究にて、すでに分かっています。

簡単に言えば世界の広がりは、見ること、それと同時に体で感じる必要があるということです。うつ伏せになって初めて両目を水平に保つことができ、自分のまわりに未知の世界の広がりがあることを知ります。

また目には静止したものを見る力である視力の他にもたくさんの機能があります。中心視・周辺視・深視力・動体視力のことです。これらの力はいずれも「動き」と目の機能に関連づいて説明されます。そのため、赤ちゃんは自ら動いて物を見る・世界を見る経験によってこれらの視力を養います。

あおむけで寝ている赤ちゃんが、寝返り・うつ伏せ・ピボット・ずり這い・ハイハイ・立ち上がりと動きの発達を重ねていくことは、そのまま目の力の発達を促していくことに他なりません。

「自己≒自分自身」の芽生えが好奇心を生み、これも目の育ちにも欠かせない。

「自ら動くこと」が目の育ちに必要なのだとすると、動きたいと思う≒「自己」の育ちも目の力の発達には欠かせません。スターン(心理学者)によれば4~6か月にかけて自らのなかに感じたり考えたりする主体を得る(中核自己感)とされています。赤ちゃんがはしゃいだり、怒ったり、文句を言ったりと感情表現をし始める時期と一致します。これは好奇心(知りたい)の芽生えも意味し、赤ちゃんがここから「自ら動く」ことの強力な動機になります。

視覚が複数の感覚と同時に経験されて、統合されることが目の機能を育てる。

「感覚間の統合」とは、本来私たちヒトの得る感覚は複数の感覚を同時に経験し、それらが脳の中関連付けられて統合されることです。
例えば・・・「物を見て・そこへ行き・自らつかんで・しゃぶって・放り投げる・そしてその光景をまた見ている」このなかにどれほどの感覚が同時に使われていると思いますか?

視覚
聴覚
前庭感覚(頭の傾きや動きをとらえる感覚)
固有感覚(全身の関節や筋肉、姿勢をとらえる)
触覚(手・口唇)

これらが同時に使われて、そして目はその様子をつねに見ています。これは「フィードバック」という情報です。起こしたアクションとフィードバックされた感覚情報はまた脳のなか統合されて、また次の動作へとつながります。この繰り返しは目の持つ感覚としての同時に、認知面(空間をとらえる、バランス反応と統合する、ボディーイメージを作る)としての目の機能を養います。

この一連の活動はおおむね4か月以降の赤ちゃんに見られるようになる、積極的な「探索活動」によってはぐくまれます!特に0歳の赤ちゃんにとって口でなめることが、「知りたい」と思っていることの現れです。「目と手の協調」にとっても大事なお口での遊びをぜひ促してあげましょう。

動きの発達を続ける時期の赤ちゃんに必要な環境とは?

それはお子さんの世界の広がりと、動く力に見合った「広い空間」です。
遠くを見て近くを見る、そのなかで興味あるものに焦点を当てて、そこに近づく。すると最初は小さかったはずのものが段々大きく見えてきて、やがて興味あるものは自分の目の前で止まる。玄関の段差から下をのぞき込んだり、ソファの上に置かれた人形に気がついて見つめたり

近年はフローリングの床にウレタンマットを引くお宅が多いと思います。お母さんには安心な道具ですが、赤ちゃんの行動範囲はそれで決まるものではありません。ぜひ、そこヵらはみ出ていく赤ちゃんの成長を喜んでください!

またお宅の広さはそれぞれです。広さが必要と言いましたが、広くないといけない!訳ではありません。今で生活のなかででき、かつ安全に動ける範囲でスペースを作ってあげてください。(床にある口に入るもの、コンセントなどは片付ける必要があります)

当スタジオは東京にあり、東京や近郊のお母さまにお会いすることが多いのですが・・・「家が狭い」と口をそろえておっしゃります。赤ちゃんは常に環境の影響を受けて育ちますが、それでも元気に育っているので心配ないと思います。

ただベビーサークルについては・・・安全が確保でできないなどの特別な事情でのみの使用をお勧めします。

赤ちゃんにスマホやタブレットの画面が与える影響

近年は0歳児のころから、目の前にスマホやタブレットを見て過ごす赤ちゃんもたくさんいます。ただし、視野の広がりは世界の広がりであり・・・たくさんの時間を目の前の画面を過ごすということは、赤ちゃんの経験する世界は著しく小さくなることでしょう。目の中心の刺激はたくさん得られますが、目をたくさんの方向に動かす機会は減るはずです。私たちヒトにとって画面の大きさが視野のすべてではありません。またこれまでお話ししてきた通り、画面をみてそこに起こることを見ているだけでは、そこには体の動きも他のたくさんの感覚情報も伴いません。すると、奥行きや遠近感、動きを感じる目の力を育てる機会も減ってしまうことでしょう。

でも・・・短時間であれば、ワンオペ育児で赤ちゃんのこと・生活のことを同時に行なうお母さんにとっては、重要なアイテムであったりすることもあることは今や否定できません。

テレビも昔から似たような議論がなされていると思います。お母さんの生活を助け、お子さんにとっての機会を失わせない範囲で、便利な小道具の範囲でお使いになると良いのかとたなかは考えています。
環境としては、距離が近くなりすぎないように「スマホスタンド」で距離を放すことはお勧めです!

りはーとでは「目の動き」と全体の発達を、一緒にとらえてその成長を促していきます。

ここまでお話をお読み頂いたお母さまであれば、「目の機能」を育てるといくことは、結局お子さん全体を育てることと同じであるということがお分かりになると思います。り:はーとでは「体の動き」に関わることで、赤ちゃんの持つさまざまな力の発達を目指しています。ご興味を持たれた方はぜひ、下のボタンからレッスンについての紹介もご覧ください!

最後までお読みいただきありがとうございました。

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